2006年1月12日から同年3月23日まで「ノイタミナ」枠で放送されたオムニバスのアニメ。
怪 〜ayakashi〜 は、「四谷怪談:全4話」、「天守物語:全4話」、「化猫:全3話」の全11話で構成されていたのだけれど、それぞれストーリーのつながりはなく、クリエイターも別という企画モノだった。
今回取り上げるのは、その中から「化猫」。とにかく試験的というか、前衛的というか、絵を見た瞬間に心を掴まれます。見て頂ければ一発なのですが・・・見せられないので、なんとか、言葉で説明してみます!
「四谷怪談」「天守物語」と違い、この「化猫」は原作がなく、オリジナルストーリーです。
▼ストーリー(少しネタバレ)
ある武家屋敷で行われた婚礼の最中に花嫁が怪死した。混乱の中怪しい薬売りが現れて「花嫁の死は物の怪の仕業である」と言う。武家の者たちはその言葉を初めは信じなかったが、薬売りの言葉通りに怪事件が起こり…。<U-NEXT 化猫(1)説明文より>
その薬売りは「退魔の剣」を持ち、物の怪を斬ることができます。ただし、斬るためには、騒動の発端となったモノノ怪の形(かたち)・真(まこと)・理(ことわり)を見つけ出さなければいけません。形・真・理を探る中で、屋敷の中の人間関係がつまびらかになって行きますが、人間の醜さを凝縮したような話で、ビジュアルの美しさがなければ、とても見ていられないくらい・・・
ゆえに、傑作と絶賛したいのは、まさに、このビジュアル。ストーリーと相まって、余計に際立つのかもしれませんが、目が離せないほど魅力的なのです。
全体を通して、わざとシワを寄せたような和紙風の質感に描かれる画は、和風でありながらクリムト的というか、和洋折衷・温故知新なレトロモダンの独特の世界観を醸し出しています。演出も紙芝居風だったりで、とにかく斬新という言葉がふさわしい作品です。
2007年7月12日から同年9月27日の期間、5エピソード12話で、「化猫」の薬売りを主人公とした『モノノ怪』がシリーズ続編として放送されたので、相当な人気があったのだろうと思います。薬売りは櫻井孝宏さんの声なのですが、これがまた見事にハマっておりまして、世界観の構築に欠かせない要素になっています。
ノイタミナ枠のアニメはFODがあるから安心して見直せます!本当にぜひ見て頂きたいです。