この作品が、人生で初めて読んだ「漫画」というものでした。
「漫画を読んだことがない」と言った私に、高校の同級生が「これを読め!」と渡してくれて、衝撃を受けた漫画です。
避けていたわけではないのですが、ものすごく本を読む子供だったわりに、なぜか漫画に手が出なかったので、少し戸惑ったのですが、あっという間に「日出処の天子」の世界に引き込まれてしまったのを覚えています。
日出処の天子、といえば、「日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。恙なきや。」で有名な聖徳太子。歴史が苦手な私でも、さすがに17条の憲法とか冠位十二階とか、当時の日本では突出した天才、というくらいの知識やイメージは持っていました。
偉人の漫画なのかなぁ・・?と思って読み始めたら、とんでもない。壮絶なまでの禍々しさと耽美的世界観。当時BLなんていう言葉はなかったのですが、BLというよりも両性具有的な、人すらをも超えた存在として「厩戸王子」が描かれています。
「本当の厩戸王子は、こんな人だったのかも」と、頭では否定つつ、気持ちが肯定したがっている自分に気づかされます。おそらく、だからこそ素晴らしい漫画なのでしょう。現実をあっさりと凌駕してしまうのですから。
ふと思い出して、読み返してみようと思ったのですが、数十年前の漫画って売っているものだろうか?という気持ち半分、電子書籍という手があるから見つかるかも?という気持ち半分で探して見ました。
結果、半分正解、という幸運な出会いができました。
作者の山岸凉子さんは自作の電子化を拒否している作家の一人なので、作品を電子書籍で読むことはできません。
しかし、流石は名作。数年ごとに何かしらの話題になって、(例えば、2015年「これも学習マンガだ」など。個人的には、学習マンガって言っちゃっていいのか微妙というか・・・あんまり子供が読んだらダメな気もしますがw)少し大判になって復刻されていました!!
それぞれの表紙の写真をお見せしたかったので、一巻一巻バナーを貼りましたが、復刻という性質上、いつまで在庫があるかわかりません。こればかりは全て読んで欲しいので、本当は7巻全巻大人買いがオススメです。(販売促進しようとしているわけではないですw)
久々に読んだ「ところてん(と呼んでいましたw)」は、やはり絵も美しく、禍々しく、哀れでした。どのシーンも素晴らしいのですが、とにかく終わり方がすごいのです。流石にネタバレが過ぎるので内容は書きませんが「これ以外にない・・・」という終わりかたです。
もし読んだことのある方がいらっしゃったら、ぜひ、感想を伺わせてください!!